ピアノを習っているお母さんからこんなご質問をいただきます。
お月謝を払って習わせているのに自分から進んで練習せず口答えばっかりです。うちの子はピアノに向いてないんでしょうか?
お母さんの考えている練習とは“時間”なんですね。
長い時間練習すればするほど上達する、と考えています。
子供がやっている練習曲など1~2分のものがほとんどです。せいぜい長くても3分以内でしょう。
30分くらいの練習時間を想定されて仰られているのですが、1分の曲を30分練習するとなると、30回繰り返し弾くことになります。
これは子供にとって苦痛の何ものでもありません。
他の課題が出ていたとしてもやってることは同じです。
毎日何かしらの習い事をやっているお子さんは、息抜く暇などないでしょう。
遊びたい時だってありますし、練習したくない日もあります。気分の乗らない日だってあります。
「ピアノを上手になってほしい」という思いはお母さんの価値観です。
「ピアノは好きな時に楽しみたい」という思いがあれば、それはお子さんの価値観です。
自分の願望を子供に託し、子供がそれに応えなければ、「ピアノなんて辞めてしまいなさい」となるのです。
最悪なのは「この子はピアノに向いていない」と勝手に決めてしまうこと。
ピアノを習い始めるときに、こんな思いがあったでしょう。
「ピアノが弾けるようになって楽しんでほしい」
「音楽に触れさせて感性を豊かにさせたい」
「お友だちのようにみんなの前で上手に弾いてほしい」・・
こんな素晴らしい思いがあって習いはじめさせたのですよね?
子供自らが「ピアノを習いたい」と、本気で切願するお子さんはほんの一握りです。
そんなお子さんは自分から進んでピアノの練習をします。
習わせるキッカケのお母さんの思い、価値観は素晴らしいものです。
子供はそれに応えようとします。
それが練習をしない状況がくると、その素晴らしい思いや価値観をいとも簡単に「やらないなら辞めなさい」とゼロにしてしまうのです。
振り回されていますよ。
芸ごとを身につけるためには長い年月がかかります。お子さんの豊かな未来になるための投資と言ってもいいでしょう。
いいですか?
子供が練習を嫌いになる原因に、ヒートアップしたお母さんの干渉があります。
この時期の練習は時間ではないのです。
特に小学校の低学年までは練習時間ではなく習慣を身に付けさせるほうが大事です。
わたしがいつも言っているのは、「一日1回の練習を毎日続けてください」これだけ。
課題が出されたものを1回ずつ弾く。弾けても弾けなくても1回だけ。同じ時間に練習させる。
これは、わたしが指導者になり数百人のお子さんを指導をしてきて編み出した方法です。
ものの5分もかからないでしょう。曲によっては1分もかからないかもしれません。
ムラを作ることなく、毎日、繰り返し繰り返しやることで身につけさせていくのです。
この方法は子供が成長する過程の礎となり、時間を上手に使っていくことができるようになり、やがてお勉強を進んでやる姿勢へと繋がっていきます。
しかし、こう言っているにも関わらず練習をやらなくなるのは、勝手な判断で「もっと練習して、もっと弾けるようになって」と、「もっともっと」とやらせようとするからなのです。
習慣が身についていないのに、『ある時はたくさんやり、時間がなければやらない』、このムラが練習軸をめちゃくちゃにするのです。
お母さんは、「練習の時間よ、やってらっしゃい」の背中押し、これだけで十分なんです。
やがてお子さんはもっとやりたくなって自分から進んで練習していくようになります。
子供の音楽の感性やピアノが弾ける才能なんてどうなるかわかりません。
続けるか辞めるかは子供が決めることです。
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